Work × AI
Notion×アビームの「AI組織変革」は必要?社内資料をAIで毎日探す僕が思うこと
アビームコンサルティングとNotionが、企業内のナレッジをAIが使いやすい形に整え、業務や組織そのものをAI前提で組み直す新サービスを発表しました。
僕自身はNotionを使ったことがありません。ただ、仕事ではCopilotに社内資料を探してもらうのがすでに日常になっています。だからこそ「AIで社内知識を扱うと何が変わるのか」は、かなり実感を持って考えられます。
先に結論
AIで社内資料を探せる価値は大きいです。ただ、すでに社内検索やCopilotが機能している会社なら「Notionへ乗り換えること」自体が目的にならない方がいいです。
僕はAIに資料探しや案出しを任せることにはかなり肯定的です。一方で、設計判断や作業者への指示、質疑への回答までAIの答えをそのまま使うことはありません。
思考のアウトソーシングはいいです。でも、理解までアウトソーシングしてはいけません。今のところ、仕事でAIを使うときはこの線引きが一番しっくりきています。
Notion×アビームが始める「ナレッジ起点AI組織変革支援サービス」とは
アビームコンサルティングとNotion Labs Japanは2026年9月17日に戦略的パートナーシップを発表し、10月から「ナレッジ起点AI組織変革支援サービス」を提供するとしています。
狙いは、企業の中に散らばっている資料や知識をAIエージェントが活用できる状態に整え、人とAIが一緒に働くことを前提として業務プロセスや組織運営を再設計することです。
単に「Notionを導入しましょう」という話ではなく、アビームの業務・組織変革やチェンジマネジメントの知見と、Notionのナレッジ・AI基盤を組み合わせ、構想づくりからAIエージェントの実装、現場への定着まで一貫して支援するサービスになっています。
僕はNotionを使っていない。でも「AIで社内ナレッジを探す」はもう毎日やっている
僕の会社では、メモは会社支給のiPad、タスク管理はOutlook、資料やナレッジは会社独自の社内資料検索サイトと、自分のExplorerフォルダで管理しています。
Notionのように一か所へ全部まとめているわけではありません。
それでも最近はCopilotがかなりの精度で資料を探してくれるので、昔ほど「情報が散らばっていて困る」と感じることはなくなりました。
例えば僕は、Copilotに「〇〇の資料ある?どこどこの寸法を知りたいんだけど」くらいの会話調で聞きます。
資料確認程度なら、今はこのくらい緩い聞き方でも十分なことが多いです。AI側の推論がかなり良くなったからだと思います。
1〜2年次の頃は、資料を探すだけでもかなり大変だった
AI検索が当たり前になる前は、自力で社内資料を検索していました。
これが結構つらかったです。
特に1〜2年次の頃は、そもそも「どこに何の資料があるのか」を把握しきれていません。
ゼネコンの設計業務では、「この箇所の設計ルール、どこかにあった気がする」と思って資料を探す場面が毎日のようにあります。
誰かから一度だけ送られてきた資料。たまにしか見ない社内規定。特定の納まりや寸法ルール。名前を正確に覚えていないと、検索ワードを考えるところから始めないといけません。
今は社内検索サイトで「この内容ならこのキーワード」と感覚的に分かるようになりましたし、Copilotにも聞けます。
でも新人の頃に今の環境があったら、資料探しに使っていた時間はかなり減ったと思います。
Notionの「エンタープライズサーチ」は、この体験を一つの場所に寄せる機能
Notionには「エンタープライズサーチ」というAI検索機能があります。
Notionのワークスペースだけでなく、接続したSlack、Microsoft Teams、Google ドライブ、Jiraなどの情報も横断して検索し、自然な質問に対して回答を生成します。
僕が普段Copilotに「〇〇の資料ある?」と聞いている感覚を、Notionの中から複数の業務ツールへ広げていくイメージに近いです。
そして個人的にかなり重要だと思うのが、回答に元のソースが引用されることです。
僕もCopilotが回答と一緒に資料へのリンクを出してくれたら、必ず元資料を開きます。AIの回答だけを見て仕事に使うことはありません。
Notion自身も、エンタープライズサーチについて「回答の正確性は必ず再確認する」よう案内しています。AI検索を仕事で使うなら、ここは機能以上に大事な運用ルールだと思います。
Notionは「探す」だけではなく、AIに作業までさせる方向へ進んでいる
今のNotion AIは検索だけではありません。
公式ページでは、接続したアプリやWebの情報も使って複数ステップの作業を行うNotion Agent、繰り返し作業を自動化するCustom Agents、会議を文字起こしして要点や対応事項を整理するAIミーティングノートなどが提供されています。
つまり、社内情報を探して答えるAIから、社内情報を理解して次の作業まで進めるAIへ広がっています。
アビームとの新サービスが「AIエージェントを使えるナレッジ基盤づくり」まで対象にしているのは、この流れを考えると分かりやすいです。
便利そう。でも今の会社なら、お金をかけてまで乗り換えを提案したいとは思わない
Notionに資料、議事録、タスク、ナレッジがまとまり、AIから自然な言葉で横断検索できるなら、慣れれば今より便利になる可能性はあると思います。
ただ、僕の会社の場合は既存の社内システムが結構整っています。
資料検索サイトもOutlookもあり、ファイル管理のルールもあります。そしてCopilotでかなりの資料が探せます。
この状態から、「Notionの方が便利そうだから」という理由だけで費用と移行コストをかけて全社的に乗り換えることを、僕なら積極的には提案しません。
AIツールを導入するときは、新しい機能の多さよりも、今の環境で何が本当に困っているのかを見る方が先だと思います。
既存システムで十分解決できている会社と、資料が部署ごとに散らばり検索も難しい会社では、Notionを入れる価値はかなり違うはずです。
僕は「思考のアウトソーシング」はする。でも「理解のアウトソーシング」はしない
仕事でAIを使うようになって、僕の中で一つルールがあります。
思考のアウトソーシングは良いです。でも、理解のアウトソーシングはダメです。
資料探しや要点の整理、案出しを任せ、抜けている観点がないかも確認してもらいます。
こういう使い方はかなりします。
一方で、設計判断、作業者への指示、質疑に対する回答など、最終的に自分やチームが責任を持つ判断については、AIが出した案をそのまま使うことはありません。
AIから案をもらっても、元資料を確認し、自分で意味を理解してから判断します。
これは建築だから特別というより、AIが組織の中でできることが増えるほど大事になる考え方だと思います。
このサービスが刺さりそうなのは「AIがない」会社より、「情報の置き場がバラバラ」な会社かもしれない
今回のアビーム×Notionの発表を見て、僕が一番価値を感じたのはAIそのものではありません。
AIが使えるように、企業ナレッジの置き方や業務プロセスまで整理するところです。
AIが賢くても、必要な資料にアクセスできない、同じ情報が何か所にもある、最新版が分からない、部署ごとにルールが違う、となれば精度は上がりません。
逆に、情報基盤が整っていて検索も機能している会社では、すでにかなりの恩恵を受けられます。僕の今の環境がまさにそうです。
なので、このサービスを検討するときは「AIを導入したいか」より、「社内の知識をAIが正しく使える状態になっているか」から考えるのが良さそうです。
AIが資料を探す世界は、もう十分便利。次は「どこまで任せるか」が大事になる
僕自身、毎日のようにAIで社内資料を探しているので、ナレッジ検索にAIを使う価値にはかなり納得しています。
新人の頃のように、資料の名前も場所も分からない状態から一つずつ検索する必要がなくなるだけでも大きいです。
Notionとアビームの取り組みは、それをさらに進めて、知識の整理からAIエージェントによる実行まで企業全体で設計しようとしているものです。
ただし、AIができることが増えても、最後まで手放したくないものがあります。
答えを出す作業はAIに手伝ってもらいます。でも、その答えを使う理由は自分で理解します。
今の僕には、この使い方が一番しっくりきています。